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懐石料理とは?会席料理とのちがいは?今さら聞けない食事の作法
こんにちは。カラクリジャパンライターのメドウです。
みなさんは「かいせきりょうり」と聞くと、どんなこと思い浮かべますか?
値段が高い料理、政治家が料亭で食べている料理、冠婚葬祭などのかしこまった席でたまに食べる料理、そんなイメージが浮かぶと思います。
「かいせきりょうりは」、日々の暮らしではあまり口にしない料理ですよね。
「かいせきりょうり」は漢字で書くと、「懐石料理」と「会席料理」になります。
どちらも同じ読みなので、同じものと思われがちですが、実際にはちがう日本料理なのです。
どうちがうのか、説明できない人の方が多い「懐石料理」と「会席料理」。
今回は2つの料理のちがいを、作法も合わせて紹介していきます!
懐石料理とは?
引用:http://kimono-chidori.com/blog/post-270/
懐石は、禅宗の寺で、修行僧が空腹や寒さに耐えるために、懐に温めた石を入れていた習慣が名前の由来になっています。
懐石料理は、安土・桃山時代に、茶道の創始者・千利休が正式な茶席でお茶を美味しく楽しむために、お茶の前に簡単な食事を出し、出席者をもてなした料理がはじまりとされています。
現在の懐石料理は、茶席で出す一時の空腹しのぎ程度の軽い食事、客をもてなす料理という意味合いで使われています。
懐石料理は、流派によってお作法が異なりますが、基本的には次の順番でいただきます。
飯、汁、向付
引用:http://www.at-s.com/gourmet/article/washoku/kaiseki/124774.html?page=photo
最初に、飯と汁をいただきます。
どちらを先に口をつけるかは流派によりますが、飯と汁は交互に口に運びます。
酒
飯と汁を食べ終えると、主催者である亭主が盃台と銚子を持ち、出席者をまわって、酒をすすめられます。
お酌を受けるときは、杯を右手に持ち左手を下に添えて受けましょう。
お酒に口をつけてから、向付をいただきます。
向付は刺身が出されることが多いですが、本来は「なます」が出されます。
合わせしょう油や酢で味付けされたなますのほか、酢の物や和物が提供されるのです。
煮物
引用:http://kaisekiyado-shiori.com/sp/dining/
懐石料理で煮物として出されるのは、具がたくさん入ったすまし仕立てのものです。
「椀盛」や「平」といった呼び方もあります。
汁椀が下げられると、煮物が置かれます。このとき、箸を休めて軽く会釈しましょう。
煮物は熱いうちにいただきます。
煮物の椀は手で持っても、マナー違反になりません。
具によっては、懐紙を上手に使いましょう。
食べ終えたら、ふたをすることをお忘れなく。
焼物
引用:http://r.gnavi.co.jp/g203400/lunch/
飯、汁、向付、煮物と続く一汁三菜の最後が焼物です。
一汁三菜は栄養をバランス良くとれるので、健康的な食生活としても勧められていますよね。
焼物は出席者の人数分が大皿や鉢で盛られています。
取り箸で空いた向付の器へ取り分けましょう。
強肴(しいざかな)
引用:http://hitosara.com/0006057629/photo/0006057629F8.html
酒をもう一献飲むので、「強いてもう一品を」という意味の言葉です。
一汁三菜の後に出される料理を指します。
「進肴(すすめざかな)」や「預け鉢(あずけばち)」とも呼ばれています。
旬の食材を3種類ほど煮た「炊き合わせ」や酒に合わせた酢の物、和物など数種類を出されることが多いです。
吸物
引用:http://www.yubacho.co.jp/recipe/2010/08/post-10.html
「小吸物」「箸洗い」「ひと口吸物」とも表現されます。
出席者同士の酒のやりとりの前に、箸の先と口中を清める意味で出されます。
昆布の薄い出汁にわずかな塩味がつけられ、季節のものが浮いている吸物です。
八寸
引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kaiseki_Kai_Tsugaru_Owani_Onsen_Aomori_pref_Japan02s.jpg
出席者同士の酒のやりとりのタイミングで出される酒の肴です。
八寸長さの杉の木の器を使うことから「はっすん」と呼ばれています。
八寸には海のものと山のもの、2種類の肴が盛られます。
湯と香の物
引用:http://kinohana2.blog62.fc2.com/blog-entry-270.html
「湯」は、お焦げや炒り米にお湯を注いで、薄塩を加えたものです。
香の物(こうのもの)は漬物で、3~5種類が盛り付けられています。
香の物は向付の器に取り分けます。 湯は湯桶に入っているので、左手に湯桶を持ち、汁椀に注ぎます。
食べ終わったら、汁椀にふたをして元通りにし、箸は膳の手前に揃えます。
懐石料理はこれで終了です。
菓子
引用:http://field-walk.com/article/201552
最後にようやく茶と、菓子が出されます。
菓子は「上生菓子」と呼ばれる和菓子や干菓子が一般的です。
黒文字と呼ばれる和菓子用の楊枝でいただきます。
会席料理との違い
引用:http://www.kyokaiseki-matsukou.jp/ceremony/houji.html
「会席料理」の「会席」は、元々は連歌や俳諧の席を指していました。
現在では、冠婚葬祭の場で出される正式な日本料理となっています。
会席料理では、吸い物、刺身、焼物、煮物の「一汁三菜」が基本です。
実際には、一汁四菜になることが多いのですが、四という数字は縁起が悪いので「三菜」と呼びます。
他には、「先付」と呼ばれるお通しに、揚物や蒸物、和物、酢の物などの酒の肴が加わります。
懐石料理との大きなちがいは、料理の最後に飯と汁が出ることです。