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【職人巡り旅】伝統技で温もりある頑丈な逸品を作る金網職人蔦勇作さん
こんにちは。カラクリジャパンライターの梅グミです。
巡り人のこまのさんが日本全国を旅して、伝統技術の職人さんにインタビュー【職人巡り旅】。
今回は、金網職人の蔦(つた)勇作さんです。
現在、金網と言えば、海外で機械生産されたステンレス製のものをよく見かけます。
そんな金網、昭和の半ばまでは、国内で手作業で作られていたことをご存知でしょうか?
今では数少なくなってしまった金網職人。
そのひとりが蔦さんです。
ある雨の日のこと。
こまのさんはお話をうかがいに、作業場のある蔦さんの自宅のガレージを訪ねました。
金網職人はどんなものを作っている?
蔦さんは、鉄やステンレス、銅などでできた針金を使って、金網を編む職人さんです。
台所に欠かせない調理用のかごやお餅を焼く網はもちろん、メッキ工場で使われる業務用の特殊なかごまで、どんな形でも作ってしまいます。
父から針金を編む手ほどきを受け、家業を引き継ぎ2代目に
蔦さんは小学校高学年頃から家業を手伝い始め、高校卒業後、すぐに先代の父親のもとで修行をスタートさせました。
先代であるお父さんの技術を、息子である蔦さんは尊敬しています。
そんなお父さんですが、蔦さんにはつきっきりで金網の技術を教えることはしませんでした。
手の込んだ金網の模様は自ら考案。伝統模様がヒント
蔦さんは洗練されたおしゃれな金網も作っています。
金網は亀の甲の模様が一般的なのですが、伝統の模様である「麻の葉」や「矢羽」など、金網では見たことがない模様も、ひとつひとつていねいに手で編んで作っているんです!
頑丈さを備えた伝統技の金網は、機械製品には出せない温もりが魅力
蔦さんは、針金を曲げる、切る、溶接する、編むといった、金網製造の工程をすべてひとりでこなしています。
編む時は、木の板に完成予定の金網の製図をはります。
その上から、職人人生をともにした年季の入った器具を使って丸く加工した、 太めの針金をはめていきます。
枠になる太めの丸い針金に、細い針金を編み込んで行きます。
いちばん簡単な亀甲模様の編み込み作業は20分で完成。
難しい「七宝つながり」は2日かかるものもあるそうです。
伝統技術のコラボレーションで、現代の生活にマッチしたものづくり
蔦さんの工夫は、模様だけではありません。
品川の伝統工芸職人とコラボレーションで作品を制作したり、職人技の実演やイベントにも登場されたりしています。
最近は、体が弱く、病気で伝統工芸のイベントを休んだこともあるそうです。
大量生産で作られた安い金網を求める人が多いなか、蔦さんが大切に守ってきた伝統の技。