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【職人巡り旅】江戸時代からの伝統を守り続ける東京琴職人金子政弘さん

 

こんにちは。カラクリジャパンライターの梅グミです。

 

みなさんは、琴を触ったことはありますか?

 

小学校や中学校の授業で触ったことがある人も多いかもしれません。

 

そして、それが琴に触った最初で最後の経験だったという人も多そうです。

 

今回、巡り人こまのさんが訪ねたのは、東京琴を作る職人、金子政弘さん。

 

私たちにとって、少し耳慣れない「東京琴」がどういうものなのか、こまのさんは尋ねました。

 

「琴」と「箏」。同じ楽器を指す言葉でも種類やちがいはいろいろある

 

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日本の伝統文化のあらゆるシーンに登場する「こと」。

「こと」とひとくちに言っても、「琴」「箏」「和琴」「一絃琴」「二絃琴」「大正琴」と、実にさまざまな種類があります。

 

「こと」の総称として、「琴」という漢字で表すことが多いのですが、金子さんがつくる東京琴は「箏」にあたります。

 

「琴」はギターのように弦を押さえる場所で音程が変わる、7弦のものが多い楽器です。それに対して、「箏」は「柱(じ)」と呼ぶ支柱で音程を調節することができ、13弦のものが多いのが特徴です。

 

金子さん
弦の数もいろいろ。低音用の琴もある

 

同じ箏でも「生田琴」と「東京琴」はちがいます。

京都の「生田琴」は京間の畳のサイズである6尺2寸でつくられていますが、江戸時代にうまれた「山田琴」が始まりである「東京琴」は江戸間の畳に合わせ6尺でつくられています。

形状も丸みと反りが少ないという特徴を持っています。

 

金子さん
東京琴って言ってるけど、地域によって構造がちがうんだよ

 

尺や寸という単位は、中国から伝わった尺貫法の単位です。

尺は親指と人差指を広げた時の幅で計算されていたので、現在使われているセンチメートルのように、正確に測れる単位ではありませんでした。

 

琴づくりに欠かせない、厚みや穴の直径を測るノギスひとつとっても苦労があるそう。

 

金子さん
寸のノギスって売ってないからたいへんなんだよ。いまは寸のノギスをとあるとこから入手して使ってる

 

琴づくりは、演奏する人が必要とする音を職人の技術で実現させる作業

 

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金子さんは、福島・会津産の桐を厳選して使っています。

木目の美しさにこだわって木を加工し、象牙や鯨の骨などで工夫をこらした装飾を施します。

けれども、琴の形に仕上げただけでは、完成とは言えません。

楽器は演奏する人が音を奏でて、はじめて、楽器と完成するのです。

 

決まったサイズや形はあるものの、琴はひとつひとつがオーダーメイドです。

琴職人は、演奏する人の好みを聞き出しながら、必要とする音を奏でられる琴に仕上げていかなくてはなりません。

 

音を言葉で表現するのはたやすいことではありません。

演奏する人が言い表せない微妙なニュアンスを感じとり、求められている以上の音を出せる琴をつくることが、琴職人には求められています。

 

東京琴の製作工程。職人自ら桐丸太を切り出すことから始まる

 

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金子さんの琴づくりは、福島の集材所で桐の丸太を切るところから始まります。

琴に向いている木目が詰まった桐材を選んでいきます。

 

材料を選んだら、丸太から切り出して琴にする部分を見きわめる「墨掛け」の作業をします。

「墨掛け」が正確でないと、楽器の質が落ちてしまいます。

 

墨掛けの線に沿い、丸太を切り出す「挽き割り」を済ませたら、琴専用の製材機で形を整えます。

形を整えた木材は、5年かけて自然状態で乾燥させます。

その間、あえて雨にさらして、材木のアク抜きもしています。

 

十分に乾燥した桐を使い、琴の形にさらに整える「甲作り」という作業をします。

「甲」とは琴の本体部分のこと。

琴の音の傾向がだいたい決まる大事な作業です。

 

「甲作り」では、最初に、甲の外側を削り表面をきれいにします。

次に内側を、ボートのようにアーチ状に削っていきます。

外側と内側の両方から甲をたたき、響きを確認しながら削り、厚さを調整していきます。

 

「甲作り」は職人の勘だけが頼りの作業で、経験がものを言います。

琴づくりを教える際、伝えるのが最も難しい作業です。

 

甲の厚さを調整したあとは、底の部分にあたる裏板をはめます。

木目を出すために、甲の表面全体を焼きごてできれいに焼き、さらに粉末にした石こうと米ぬかを使って、磨いてつやを出していきます。

ここまでが、金子さんが福島の工房で済ませる作業です。

 

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こまのさん
技術的に難しい作業はどれですか?
金子さん
表面の木目をいかにきれいに出すか。次に難しいのは、なか削り。桐の木かたさがいろいろあって、削り次第で音が変わってしまうから
こまのさん
木目がきれいだから、演奏目的以外で買うお客さんとかいそうですね
金子さん
コレクターのひともいるね
1000万円するやつとか

 

東京では、パーツ作りと装飾を中心に作業しています。

琴を支える「猫足」や装飾用の「柏葉」、弦のブリッジとなる「角」などのパーツを作り、甲に付けていきます。

パーツの材料は紅木(こうき)、象牙、黒檀(こくたん)、十八金、クジラの骨、漆などを使います。

とても細かい作業です。

 

装飾部分は、職人のセンスが活かされてきます。

演奏する人が舞台の上で楽器を弾いているときに、美しく見えることを考え、作り込んでいきます。

 

 

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こまのさん
象牙も手で削るんですね?
金子さん
象牙ってやわらかいから手でやんないと、ゴリゴリなくなっていっちゃう

 

高級品の東京琴の装飾には象牙を使いますが、鯨の骨を使った装飾もつくるそう。

 

金子さん
象牙にかいてある線は黒炭。描いてあるようにみえるけど溝に黒炭をたたきいれてる

 

 

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弦を張る作業、音を調律まで金子さんがやって、完成!

 

子どもの頃から間近で見ていた父の琴づくりを受け継ぐ

 

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先代である金子さんの父は、上質な桐の産地である会津の材木商の出身でした。

家業の桐材屋で琴職人に材木を売っていたのですが、30代になって上京。

琴づくりの世界に飛び込んだそうです。

 

そんな父の琴づくりを子どもの頃から間近で見ていた金子さんでしたが、実際に作業を手伝うようになったのは20代になってから。

 

金子さん
琴職人の親父の後を継ぐことはわかっていたから、大学までは好きなことやらせてもらいたくて、コンピューター系の学校へ行った

 

卒業後、父の指示をこなしていくうちに、琴づくりの技術が身についたのだとか。

 

そして、父が亡くなったあと、2代目に。

 

金子さん
琴づくりはもう40年くらいやってる

 

そんな金子さん、今でもソフトいじりが好きなのだそう。

最近はドローンの操作もしているとか。

 

金子さん
ドローンの撮影とかしてyoutubeあげてるよ

 

こまのさん
そんな金子さんのお店はこちらです↓

 

かねこ琴三絃楽器店

 

 

 

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