目次
神事として始まった伝統演芸・太神楽(だいかぐら)。その演目や楽しみ方は?
こんにちは、カラクリジャパンライターのユキガオです。
太神楽(だいかぐら)の曲芸師である海老一染之助さんが亡くなったというニュースを耳にした方も多いのではないでしょうか?
「おめでとうございます〜」という陽気な掛け声と、鞠や枡(ます)を傘の上で回す曲芸は、お茶の間を賑わせ続けました。
そんな太神楽は、日本の伝統的な総合演芸です。
一体どんな演目で、どのように楽しむものなのか詳しくみていきましょう!
神事として発展した太神楽
Photo by William Tai on VisualHunt.com / CC BY-NC-ND
太神楽とは神楽(かぐら)の一種で、もともと平安時代に伊勢神宮や熱田神宮で行われる祭礼として生まれたとされています。
そんな太神楽の内容は、大きく分けて2つ。
ひとつは「舞」と呼ばれるもので、獅子頭をかぶった二人組で舞い、悪魔祓いをするというもの。主にお正月やお祝い事の際に、家々を回って祈祷します。
江戸時代になると、太神楽師たちは大名について各地で氏子の家のお祓いをするため獅子舞を舞っていました。
伊勢神宮や熱田神宮に参拝することが非常に大切にされていた当時、それらの神社から出向いた神官が太神楽の巡行をすることで、代わりに参拝する(=代神楽)とも考えられていたんです。
もうひとつが、傘回しなどの曲芸を見せる「曲」。こちらは獅子舞の余興として行われていたものですが、寄席が現れると「舞台芸能」として広まりました。
今では太神楽と聞くと、傘回しを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?他にも、口に棒をくわえてお茶碗を立てる「五階茶碗」や、手に持った棒に皿を乗せて回す「皿回し」も曲の演目です。
この他にも、掛け合い茶番などの「話芸」と、祭囃子などの「鳴り物」を入れて四本柱で「太神楽」と言われることもあります。
太神楽はいつ・どこで見られる?
テレビ番組などで太神楽を見ることもできますが、目の前で見るチャンスもあります。
年始には、国立劇場で開催される初春歌舞伎で寿獅子舞が披露されたり、国立演芸場の初席で獅子舞が演じられるなど、お正月には特に公演が多いようです。
また、太神楽曲芸協会では2月の節分の際に善國寺で奉納神楽を行なったあと、神楽坂通りを獅子舞で回るなど外で目にする機会もあります。
5月には、大演芸まつりや神田祭、川崎大師まり塚まつりなど多くの場で獅子舞や曲芸が演じられるとのこと。
太神楽曲芸協会だけでなく、個人で曲芸師として活動している方もいらっしゃるので、様々なイベントでその芸の数々を見ることができます。
もしどこかで見かけたらぜひじっくり鑑賞してみてください。
バリエーション豊かな曲芸を楽しもう
Photo by pix-l on Visual Hunt / CC BY-NC
もともとは神事として発展した太神楽ですが、現在では曲芸の技術の高さやパフォーマンスとしての面白さを楽しむものとなりつつあります。
はじめにご紹介したように、伊勢神宮と熱田神宮から生まれたこともあり、それぞれの流派があったり地域ごとに演目が違うのも興味深い点です。
もともとは大名について行って太神楽を行なっていましたので、「水戸大神楽」「江戸太神楽」「伊勢大神楽」というように地域ごとに太神楽の集団があります。
地域が違えば、演じられる演目も異なるため、非常にバリエーション豊か。
それぞれの場所で違う演目を鑑賞して楽しむのも面白いかもしれません。
現在は太神楽師の高齢化も進んで後継者も不足しているとのこと。日本の伝統演芸として後世に残していきたいですね。